こんにちは。
レザーブーツと言えば、誰もが一度は聞いたことがあり、誰もが一足以上は持っていると言っても過言ではないレッドウィング。
アメリカ本土で創業100年以上の歴史のあるレザーブーツメーカーだけに今更ながら、” REDWINGとは・・・” など説明する必要もないので敢えて割愛する。「RED WINGの歴史」を知りたい方はHPにあるコチラを。
ではさっそく本題に、今回は購入してから10年以上履き続けた「6" CLASSIC MOC (6インチ クラシックモック) No.8179」。
REDWING好きなら色々なブーツを試したいが、ブーツもここ近年価格高騰し容易に購入できない現況にもある。
本来、一生モノと言われるレザーアイテム。今回のテーマでもある履き潰したレッドウィングブーツをリペア(修理)し、原形やオリジナリティーな形状に蘇らせることもできる。
そのなかでも歴史あるレッドウィングには”リペア”という、アフターケアのサービスが整っている。
レッドウィング社の看板商品となるクラシックモック。今回はリペアを依頼したNo.8179『トラクショントレッド・ソール(以下:「ホワイトソール」という)』から『「ビブラム・ラグ・ソール(以下、「ビブラムソール」という)』オールソール交換をしたのでご紹介しよう。
大まかに言うとブーツの上の部分となるアッパーレザーには、定期的なブラッシングやオイルを染み込ませる作業(オイルケア)次第では何年でも履くことができるが、しかしソールだけは別物。
擦り減ったものは元には戻せない。裏を返せばソールを交換さえすれば、一生履き続けられると言うことだ。
6" CLASSIC MOC(6インチクラシックモック)#8179
1905年アメリカミネソタ州のレッドウィングという街で創立。120年近くの歴史がありながら1952年、白く底面が平らな“トラクショントレッド・ソール”導入。当時から定番であったモックトウタイプの、現代でも受け継がれる色褪せない流行不易のデザインとなっているため、"流行"という概念がない。
消費者に古くから愛され着用されレッドウィングの看板商品の6”MOCシリーズ。メンズはもちろん、軽量されたウィメンズライン、カラバリも豊富に展開されている。
ICON STYLE NO.8179 | 6" CLASSIC MOC |
レザー | ブラック「クローム」 |
ソール | トラクションレッド |
製法 | オールアラウンド・グッドイヤーウエルト |
ラスト(木型) | 23番 |
価格 | ¥45,870 |
ビブラム・ラグ・ソール
ビブラムソール(vibram sole)とは、イタリアのソールメーカー「ビブラム社」が開発・製造しているゴム製のアウトソール。
ビブラムソールは「ビブラム社」が展開しているソールの商品名ですが、ギザギザした凹凸があるゴム製アウトソールの総称として用いられることもある。
レッドウィングジャパン(RED WING SHOES)が1950年代から長年誇るどのような場所でも歩きやすく長時間履いても疲れにくいトラクショントレッド・ソールだが、今回の#8179を「ビブラム・ラグ・ソール」にリペアする目的は、主にこの2つ『登山仕様』&『バイク仕様』。
ビブラムソール目的①(登山仕様)
- 山の斜面の小石や砂利を衝撃を吸収する柔らかいラバータイプ。(ホワイトソールは適していない)
- トレイルやオフロードなどの路面にも適したカジリ易いソール。(ホワイトソール底面は、凹凸が浅くグリップ性が低い)
ビブラムソール目的②(バイク仕様)
- 踵のあるソールは、バイクのステップ掛けにも適している。『バイク仕様
- どんな場面でも対応する確かなグリップ効果のあるソール。
- アメカジやライダーズファッションにも合う。
交換作業 | 部品&工賃 |
---|---|
オールソール交換(❶~❷) | ¥18,700(税込)~ |
アウトソール交換(❷) | ¥16,500(税込)~ |
店舗に展示されている「ビブラムソール」のサンプル触れたが、見た目は凹凸感のある非常にボリュームがあり、まさにワークブーツといった風貌になる。
このソール、実は非常に”軽い”のも特徴のひとつ。そして今回は紐も経年劣化していたのでレースも交換。
ミッドソールについては、リペア依頼時にスタッフさんのアドバイスを参考に交換へと至った。
“アウトソールのみの交換ではミッドソール白いラインが残ってしまうので、
オールソール交換にしてオールブラックにした方が統一感がでますよ“
①アウトソール交換 | ¥18,700 |
②Taslan(Black)¥880 | ¥880 |
合計(①+②) | ¥19,580 |
Before
やはり10年以上も履き続けてきた”MOC#8179”のUPRのLEATHERはキズやシワの経年変化が見られるが、ソールの擦り減りは大分経年劣化しているため、ソールの機能は役割を果たしていない限界な状態にある。
さすがに「ホワイトソール」がここまで劣化すると、履き心地や機能面等の欠落が否めない。
また購入時から気づいた”ホワイトソールの懸念点”を下記のボックスに纏めてみた。
OUT SOLE
底面のウェーブ状の凹凸が擦り減ると、グリップ力が低下しウェット路面や特に雪上では滑りやすい。
Heel
決して軽量化とは言えないホワイトソールはどうしても歩行時に踵が擦れてしまい、長年にわたり愛用するブーツだけに、長く履けば履くほど踵部のソールの減り方は早い。
踵が浮いたような状態で着用しており、段々と安定性に欠けてくる。
また、踵のソールが減る要因はやはりバイクだろう。バイクの取り廻し、STOP&GO時に重心を安定させるための摺り足はソールへの消耗は大きい。左右ともに、アウトソール減り具合やミッドソールの剥がれも目立っている。
MID SOLE
ミッドソール自体には品質や機能面は問題なく、踵部分の剥がれが見られるくらいしかない。今回は、MID SOLEの白いラインが浮きだってしまうため交換する方向となった。
ホワイトソール懸念点(一個人の意見)
- ホワイトソールはそれほど軽量ではないため、着用時に疲労が蓄積される。
- 踵部のソールが擦り減るにつれ、着用時の安定感が失われる。
- 底面のウェーブ状の凹凸が擦り減ると、ウェット路面では滑りやすい。
- 傾斜面や未舗装でのグリップ力が低減。
- 平面ソールはステップに踵が掛からない(バイカー目線)
After
今回の目的でもあったアウトソールはバイク乗りや登山など多趣味に合ったオリジナリティーなREDWINGへ。
リペアを依頼しわずか1ヶ月ほどで作業完了の連絡があり、実物を受け取った瞬間に見違えるカッコ良さは一見、販売終了となったしまったSTYLE No.8133 「SUPERSOLE 6" MOC(スーパーソール 6インチモック)」を彷彿をさせるようなシルエット。
MID SOLE
今回はアウトソールの減りがミッドソールまで達していないが、青山店スタッフさんのアドバイスによりBLACKのMIDSOLEに交換したことが、より一層BLACKの統一感が露骨なビジュアルを引き立てた。
全体的なビジュアルとして、統一感を出すならMID SOLEまで交換するのが一番のオススメかもしれない。
TOES
実際に歩行や屈伸運動等を着用した感じでは、見た目に反して履き味は柔らかく、足の指先を曲げる分にはホワイトソールよりは、ストレスを感じない履き心地となっている。
つま先部分のモックトゥのステッチとUPR LEATHERの出し縫いの白糸が、湾曲したラインがマッチしている。
ココ推し
- 爪先部位が柔軟に曲がるラバー製のビブラムソール。
HEEL
レッド・ウィング社が使用しているのは、爪先から踵のヒール部分まで一体成型のビブラムソールとなっている。
見た目に反してヒール部のクッション性は柔らかく、耐久性に優れたバランスの良いソール。
ビブラムソールならではの際立つ凹凸は、登山からトレイルコース、キャンパーにでも期待できそうだ。
また、バイクのライディングから取り廻しまでのグリップ力も実感でき、トータルバランスの高いオールマイティなソールとなっている。
ココ推し
- どんな路面や環境下でもグリップ性の高いビムラムソール。
- ヒール部は衝撃吸収力がある確かなクッション性。
SHOELACE
交換費用
LACES STYLE NO.97157 48" TASLAN LACES BLACK(48インチ タスランレース ブラック):¥880
MADE IN USA
ココ推し
- 平紐に比べて、縛っていても捻れが気にならない。
- 縛った時の「タン」に紐の縛り痕や履きジワが着くのが、丸紐ならでは特徴。
Boots 用語集
簡単にブーツに関連する用語を纏めたので参考までに。
銀面 | 革の表面 |
内面 | 革の裏面 |
ヌバック | 革の表面を起毛させたもの |
スエード | 革の裏面を起毛させたもの |
モックトゥ | つま先部分にUチップが入ったブーツ |
プレーントゥ(ラウンドトゥ) | つま先部分が丸く平らで、飾りのないブーツ |
キャップドトゥ | つま先部分を保護するために一枚革を付け加えたブーツ |
出し縫い(底縫い) | 靴底が剥がれないように留めつけておく縫いのこと |
Red Wing Japan Repair @Instagram
レッドウィング・ジャパンのリペア公式アカウントはコチラ。
お客さんから依頼されたリペアのビフォーアフターや修理工程の紹介、お知らせなどブーツが甦る投稿が随時配信されている。
Red Wing 直営店 @レッドウィング・シューストア 東京青山
今回のリペアと撮影にも協力いただいた『レッドウィング・シューストア 東京青山』。
対応してくれたスタッフさんに問い訪ねると、" 年末年始が一番、ソール交換の繁忙期 "だそうだ。
今回のリペアを依頼日は、まさに12月初旬であったが1ヶ月程で作業は完了。繁忙時期にも関わらず、丁寧な仕上げ施せるのはレッドウィングジャパンが、認めたリペア職人にならではの信頼の証だろう。
今回の作業内容の概要はコチラ。
交換作業(内容&費用)
- 【品番】:8179/E(ワイズ)
- 【預かり店舗】:東京南青山店
- 【依頼日】:2022/12/4
- 【交換作業完了 & 連絡日】:2023/1/12(約1ヶ月間)
- 【Re-sole交換】:トラクショントレッド・ソール →新:ビブラムラグソール。(ミッドソール白→黒)
- 【交換費用】SOLE:¥18,700(税込)+LACES:97157 48” Tasman(Black)¥880(税込)
- 【総費用】¥19,580
もちろん新しいブーツを買うのもいいが、今回のようなオリジナリティーの楽しさや一生モノを実感できる素晴らしさが”リペア”という楽しさも味わってもらいたい。
直営店や取扱店ので店舗は、その他の修理や受付を対応している。
- ソール交換の他にも、ほつれたステッチの縫い直しや、腰裏の革あても可能。
- リペアのご依頼は直営店並びにレッドウィング取り扱い店舗にて直接お受付も可能。
- ご来店が難しい場合は発送での受付も可能。
ここ最近では在庫の品薄状態が続いていたが、徐々にアメリカ本土から入荷されてきている。リペア以外にも全てのLine upやサイズ、Men'sはもちろん店内に段々と増えてきたWomen'sが揃う東京青山店。
店内には " Sample of Aging Boots " コーナーも設けられ、多くのスタッフさんが履きこなした現物が展示され、ホームページ上の「UPCYCLE」で販売されるかもしれない。一度は遊びに行かれてはいかがでしょう。
まとめ
ビブラムソールを装着しALL BLACKに変貌した迫力のある”MOC#8179”。オリジナリティのソールでも自分だけの一足にアレンジが出来るのもリペアの魅力。
露骨に見えるソールだが、高い耐磨耗性を誇り、衝撃吸収力、グリップ力も強い。また、履き味が柔らかいのも特徴である。外観や機能面の全てを兼ね備えた最強のマッチングブーツだろう。
時代の折々の限定品やカラバリ、アッパーレザーの材質や素材に流行にあるものの、不易な原型・デザイン・カタチは今も変わっていなのがレッドウィングの伝統と歴史である。
アメリカの自社工場で受け継がれてきたブーツ造りに対し真摯に取り組んだ職人技による丹念なつくりは、「一生モノ」と言われることが証明できただろう。
また、10年後には履き潰したソールを交換となる日が楽しみで仕方ない。
長年愛用する魅力
- アッパーレザーの履けば履くほど馴染む履き心地
- 自分の足型や動作に入る履きジワ
- タンのベストな位置に結びジワがつくシューレース
- すり減ったソールを張り替えては何度も履くことができる
昔から日本人の足は「幅広・甲高」と言われてきたが、最近の日本人でも足の形状や特徴は人それぞれ個人差がある。自分のブーツを履きこなし、自分に合った靴を長い年月かけて育てることができるのがレーザーブーツ。
レッドウィンングには、それぞれに似合った豊富な種類のブーツが揃えられているので、ぜひ自分に合う" 一生モノ "を手に取ってみてほしい。